本件訴訟の経緯
本件訴訟に至るまでの経緯を簡単にまとめる。なお、ウェブサイトの内容が問題になっているが、状況に応じて内容の追加や修正を行ったので、正確な日付がわからないものについては、およその日付である。
なお,相互で送受信した添付ファイルや,郵送した文書については,「ウルフアンドカンパニーから訴訟を予告するメールが来ました(2020/06/14-」からのリンクをたどれば読むことができる。
- 2020/06/03
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、次亜塩素酸水噴霧が行われるようになったことについて、被告(天羽)がBuzzFeedの取材を受け、その記事が「大量に商品が出回る「次亜塩素酸水」の危険 科学者「一番怖いのは...」」として公開された。同時に、Yahooニュースでも同じ内容が公開された。 - 2020/06/14
株式会社ウルフアンドカンパニー(原告)の代表取締役である大竹氏から、「貴殿の次亜塩素酸水のYahooニュースの件苦情抗議 と貴殿裁判の提起準備の件4」と題するメールが届いた。内容は,微酸性次亜塩素酸水が新型コロナに効果があることと,取材記事を取り消してウルフアンドカンパニーの商品を安全であると言わないと提訴するぞ,というものであった。以後、届いたメールの内容は随時「ウルフアンドカンパニーから訴訟を予告するメールが来ました(2020/06/14-」に追加し公開しており、これが本件訴訟の原因となった。 - 2020/06/15
被告から原告に対し,メールのタイトルが裁判の提起準備4となっているがこれが最初のメールなので,1から3はどうなったのかという問い合わせと,次亜塩素酸水の規格や効果についてのエビデンスを示すよう求めるメールを送った。 - 2020/06/16
原告から被告宛に3通のメールが届いた。1通目のメールは,原告がエビデンスと主張する内容について,ファイルが4つ添付されていた。2通目には,小波氏(京都女子大名誉教授)も提訴するとか,謝罪すれば訴訟を取りやめるといった内容に加えて,「無塩微酸性次亜塩素酸水と(浮遊菌・落下菌及び他の殺菌剤との違い 改定2020.6.15.doc」というファイルが添付されていた。3通目は,小波氏の代理人が原告に送った内容証明に対し,原告が反論として出した文書が添付されていた。
※小波氏が先に訴訟予告されて,弁護士を代理に立てて交渉事件としていた。私宛の訴訟予告は後から届いた。 - 2020/06/19
被告は,3通のメールに対する回答を書面で作成し,レターパックで原告に送付した。同時に,同じ内容をメールに添付して送信した。エビデンスはエビデンスたり得ないし,謝罪はせず,原告の商品を安全だということもしない,という内容であった。 - 2020/06/25
原告の要求を全て断ったので,被告は原告に,訴訟の日程を確認するため「訴状の提出予定について教えて下さい」というタイトルでメールを送信した。 - 2020/06/26
原告は被告に対し,「時間ができたら適切な時期に。」「いづれも弁護士無しです。弁護士付きの被告や弁護士をいつも涙目にしています。^^」という内容のメールを送信し,日程については明らかにしなかった。 - 2020/07/01
被告から原告に対し,内容証明を送付。内容は,当初のメール通りに被告を提訴するかそれとも提訴の予告を取り消すかどちらかを選べ,どちらも選ばなかった場合は被告が原告を提訴する,というものであった。
※この件について,被告は,内容証明に書いた通りのことを実行した。現在,山形地裁にて,謝罪やウルフアンドカンパニーの商品を安全だと公表する義務がないことを確認する債務不存在確認訴訟を提起し,進行中である。 - 2020/07/06
原告は被告に,「明日は法廷で私が2100万円の損害賠償を求めている被告と弁護士をオラオラして涙目にさせてきます。当然、私は弁護士無しです。そこら辺の出来損ない弁護士よりは力ありますよ。弁護士は文書では強い事書きますが、法廷で会うとへなちょこばかりですね。文武両道の私とは違います。」「越谷の裁判所の裁判官の部屋を知っていまして、関係者以外知らないのですが、何故か私は知っています。越谷の裁判所では、私が法廷に行くと厳戒態勢で、裁判官の部屋の前に防刃手袋をつけた職員が立ちます。」「貴殿が待てないのであれば、どうぞご自由に訴訟の提起をしてください。」「で、届いた内容証明は熟読してませんし、何かのURLも興味ありません。」といった内容のメールを送信した。 - 22020/08/06
越谷警察署から山形大学に電話。折り返しかけるように言われたので電話したところ,「ウルフアンドカンパニーから訴訟を予告するメールが来ました(2020/06/14-」に書いてある会社の名前や社長の名前を消して欲しいという要望があったと伝えられた。 - 2020/08/19
大竹氏から大学宛にクレーム。伝言をきいたところ,会社や社長の名前の削除要求だったらしい。 - この時期,大竹氏が,小波氏の代理人に,自身が右翼であることや小波氏との件を右翼に相談しているといった内容を電話で伝え,そのことを私が小波氏から知らされたので,上記ウェブサイトに簡単に記載していた。後に,大竹氏から,そんなことは言ってないという主張がなされた。伝聞であったので短期間だけ掲載して現在のウェブサイトには出ていない。
- 2020/09/17
大竹氏は,上記ウェブサイトに出していた大竹氏送信のメールについて,削除要求のメールを被告に送信した。回答期限は9月19日だった。 - 2020/09/17
被告は,削除要求を拒否する旨返信した。 - 2020/09/22
原告が,被告を,さいたま簡易裁判所越谷支部に提訴。請求は,100万円の損害賠償と,メールを引用しているウェブページの削除など(令和2年(ハ)第652号) - 2020/09/24
さいたま簡裁越谷支部が職権でさいたま地方裁判所越谷支部に事件を移送。削除要求の部分が訴額160万円とされたため,合計金額が260万円となり,地方裁判所の管轄となったため。 - 2020/12/01
さいたま地裁越谷支部は浦和の本庁に事件を回付。事件番号は令和2年(ワ)第2509号となり,期日指定される。 - 2021/01/27 第1回口頭弁論
原告:訴状、訴状訂正申立書、甲1、証拠説明書、準備書面と書かれた請求の趣旨を陳述
被告:答弁書(表紙含め)、乙1、乙2、証拠説明書提出し陳述
原告被告双方に宿題が出ていて、原告の書面〆切は2021年3月1日、原告の書面提出を受けて被告反論の書面〆切は2021年3月31日一度書面をやりとりしてみて、さらにやりとりが必要かどうかを判断の上、期日のスケジュールを考える、というのが、裁判所の方針である。やりとりが1回で済めば上記日程で期日となり、さらなるやりとりが必要と判断されれば、書面提出の〆切が新たに設定され、上記スケジュールは先に伸びる。
- 2021/03/01
原告より、山形地裁の訴えを取り下げるならさいたま地裁の訴えも取り下げる、という打診のメール。被告は訴えの取り下げを拒否する旨回答した。 - 2021/06/16 第2回口頭弁論(原告の都合により4月の期日は結局延期になった)
原告:準備書面2、準備書面3、反訴答弁書、甲第2号証の1,2 提出
被告:準備書面1、反訴状、乙第1号証の2,乙第3号証から乙第11号証まで提出
裁判官交代により弁論の更新。 次回までの宿題:被告の書面提出期限は7月26日、原告の書面提出期限は9月7日。 - 2021/09/15 第3回口頭弁論
弁論の更新
原告:準備書面4、甲第3号証(インターネットの記述、2012.09.12頃)
被告:準備書面2、準備書面3、反訴状訂正申立2、乙第12号証、13号証、証拠説明書3
まで提出。
弁論終結。 - 2021/12/22 判決言渡
原告請求棄却,被告による反訴の請求も棄却。